oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

家庭用太陽光発電は損か得か? その2 サブスク

最近、初期費用ゼロで太陽光発電を設置し、定額で利用できます。という商品が出ています。内容的には:

1.事業者が無償で太陽光発電を客先の家の屋根に設置する。

2.客先は、屋根を貸すことと、月々定額の利用料金を支払う。

3.契約期間(10-15年)終了後は、太陽光発電設備は、無償で客先に譲渡される。

客先は、初期投資をしないで、太陽光発電設備を利用することができるところがポイントです。

「その1」の計算例で、この仕組みを考えると;

事業者は太陽光発電設備の設置費用112,4万円を負担し、設置する。

客先の現状支払っている電気代は、年間14.9万円/年

客先が太陽光で発電した電気の内1,703kWh/年を使用する。・・電気代は無償になる。

残りの2,055kWh/年分は電気代がかかる・・・8.94万円/年

客先は太陽光の余剰電力は売電収入がある。・・・4.96万円/年

合計10.92万円/年のメリットがある。・・・10年間で109.2万円、15年間で163.8万円

従い、無償で設置された太陽光発電の利用料は、このメリット未満でないと客先の利益にならない。すなわち、

10年契約なら、109.2万円/10/12=9,100円/月・・・15年契約でも同じ

一方、事業者側は、112.4万円の設置費用と利益を回収したいので、

112.4 万円/10年/12=9,370 円/月以上でないと、利益が出ない。従って、事業者は、東京都のような補助金を獲得しないと利益が出ないことになる。

補助金があれば、設置費用は64.4万円になるので、

64.4万円/10年/12 = 5,370円/月以上で、利益が出ることになる。客先のメリット以内の下限値9,100円/月以下で、5,370円/月以上として、8,000円/月の利用料とした場合、事業者は、(8,000 - 5,370) x 12 x 10 = 31.56万円の利益を10年間で得られる。一方、客先は、(9,100-8,000) x 120 =13.2万円の利益を10年間で得られる。これでやっと、双方WinWinとなる。利用料金の設定がキーとなる。

補助金が無いと苦しいのは、客先が自分の費用で設置するのと同じ。

この仕組みのメリットは:

1.初期費用がゼロで、太陽光発電設備が設置でき、利用できる。

2.契約期間中は、設備の維持費は事業者が負担してくれる。

3.契約期間経過後は、無償で設備が客先に譲渡される。

デメリットは;

1.月額利用料の額により、客先のメリットが無くなるので、利用料金には注意が必要。

2.契約期間が10-15年と長いので、その間に太陽光発電設備の設置費用(kW単価)は年々下がっているので、もうしばらく待ってから、補助金を自分でもらって設置するほうがメリットがあるかもしれない。

3.既設の家の屋根に太陽光発電設備を設置するので、それほど重くは無いが、屋根に追加荷重がかかる。これがOKかどうかは、家の設計と経年劣化がかかわるが、事業者が責任を持つのか、よくわからない。追加荷重は、耐震的には、良い方向とはならないので、注意が必要。

4.設置工事がお粗末だと雨漏りなどの後遺症となるので、信頼できる設置業者かどうかを見極める必要あり。

5.契約終了後、太陽光発電設備は、客先に無償で譲渡されるが、以後の維持費として、必ず、太陽光発電設備にある「パワコン」(発電した直流電気を交流電気に変換等する機器)の寿命が来るので、交換費用が掛かる。また、設備の寿命が来た場合や、家を建て替える場合は、設備の処分費用が掛かる。(契約期間中の維持費は事業者負担だが、契約期間終了後は維持費は客先負担ということ)

6.契約書をよく読むこと。契約期間中は定額金額の変更が無いこと。期間終了で譲渡されるときは、その時点で太陽光発電設備が健全であることを確認する責任は事業者にあることを確認すること。など、客先(屋根を貸す人)に不利益な内容が記載されていないことを確認すること。

太陽光発電設備の普及には良い仕組みと思いますが、一応、上記の注意点を考慮して、採用可否を判断する必要があります、また、結局設備コストに左右されます。

 

筆者の家では、10年以上前にリフォームで耐震工事を実施して、屋根を軽くするために、瓦をスレートに替えており、その時太陽光発電設備を同時に設置しようとしましたが、当時は価格が高く止めました。最近、別の記事に書いたように発電設備としてエネファームを導入したので、今のところ太陽光発電の設置予定はありません。