oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

その底地買いますか?

数年前、親族の高齢者から相談のあった内容ですが、その親族は、土地を借りてその上に自分の家を建てて住んでいました。いわゆる「普通借地権契約」を結んで、毎月地代を払い、期限が来ると更新料を払って契約を継続していました。(更新のある借地権契約を「普通借地権」といい、期限があって、更新のない契約は「定期借地権」と言います。)この地主(大家さん)が、高齢で亡くなってしまい、その半年くらい後に、相続人の代理と称する不動産屋から連絡があり、「「底地」(借地権の設定された土地を底地と言います)を買い取ってくれないか?」と言われたそうで、どうすべきか?という相談でした。筆者は「高齢者の自宅に知らない人からお金の話」ということで、「詐欺ではないか?」とまず疑い、二つのことを確認しました:

1.法務局に依頼して登記情報「全部事項証明書」を入手して、相続人の氏名と住所を確認し、親族に連絡してきた相続人が確かに相続しているか?を確認。

2.連絡してきた不動産屋が実在して、その担当者が実在するかを確認。

この二つが、確認できたので、詐欺ではない本当の話、と考えられました。

次に、底地の価格がいくらなら、買い取った方が良いかを検討しました;

土地の広さ:約150 m2

時価相場:3,000万円(不動産情報サイトの情報から)

路線価:140D・・・国税庁のHPで調査、140は土地価格140千円/m2, Dは借地権割合60%を示します。これよりこの土地の更地の相続税評価額は140 x 150=2,100万円

固定資産税評価額:路線価が公示価格の80%, 固定資産税評価額は70%と言われていますから、2100万円 x 70/80=1840万円。

固定資産税課税評価額:1840 x 1/6 =307万円(200m2以下の宅地は1/6で評価される)

CASE1:投資目的で底地を買う場合の価格を推定

固定資産税:307 x 0.014 =4.3万円(固定資産税は1.4%)

地代の年額:25万円

仮に投資として底地を買う場合の通常利回り:2%(不動産情報サイトから)

投資目的で買う場合の底地の価格:(25-4.3)/0.02=1,035 万円

CASE2 :相続税評価額での価格

借地権割合:60%

底地の価格割合:40%

底地の相続税評価額:2,100万円 x 0.4=840万円

売りたい相続人は、「遠方に居住するので管理できないので売りたい」とのことなので、時価(更地価格3000万円を使うと、3000 x 0.4=1200万円になる)で売るとは言わないはずで、そうすると上記の1,035 - 840万円くらいの価格を提示してくるだろうから、その付近ならボッタクリのような価格ではないので買っても良いのでは、とアドバイスしました。

その後、不動産屋から連絡のあった金額は、底地価格850万円、登録免許税、不動産取得税、印紙税、及び不動産屋の仲介手数料などの諸費用を含んで合計1,000万円とのことでした。(土地の売買なので、消費税はかからない取引です)

時価より安い、予想に近い金額だったので、親族も買うことに決めて、契約したそうです。先日、所有権移転登記も完了して、税務署からの不動産取得税の請求を待っているとのことでした。

借地権者が底地を買い取るメリットは:

1.土地と建物の所有者になり、土地は宅地として自由に売却等できるようになる。

2.時価で売却等できるので、資産的にも価値が上る。(上の例では、時価3000万円で売却できるようになる。それまでは、時価でも1,800万円(3000万円の60%)で、地主の承認が無いと売れなかった)

3.相続人も売却する場合、「相続土地の3000万円特別控除」が利用できる。

筆者は不動産で苦労しているので、不動産を買うのは好きではありませんが、上記のような、買い物は良いと思いました。不動産にもいろいろあるものです。