oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

再エネに逆風か?

本日(10/23)の日経電子版に次のような記事が出ていました。

「風で舞う太陽光パネル 危険な飛散・倒壊、8年で90件 ソーラーの死角

風にもろい太陽光発電施設が全国に点在している。日本経済新聞の調べによると、2015~2022年度にパネルや架台の飛散、倒壊など危険な事故が少なくとも90件あった。普及を狙い建築基準法の適用外としたことが安全性の低下を招いている。事故報告全体の1割弱にあたるとみられる。電力の安定供給に不可欠なだけに適切に管理する仕組みが要る。・・・・・・・・・・」

筆者は先に別の記事で、実家の空き家対策で太陽光発電所を設置したと書きましたが、この記事を見て、心あたりがあります。業者を選定して設計を始めたときに、架台と結合ボルトの強度計算書が提出されました。(太陽光発電は、太陽光パネルが架台に支えられ、その間はボルトで固定され、架台は杭に固定されて、杭を地中に埋めて支える構造になっています。)強度計算書は、JISC8955規格に基づいて計算してありました。この規格は「太陽電池アレイ(パネルをつないだもの)用支持物の設計用荷重算出方法」で、日本各地の強度計算に考慮すべき、風荷重用最大風速、最大積雪荷重、最大地震荷重の計算方法を規定しています。筆者が入手した強度計算書は、この規格に基づいて算出した、荷重に基づいて、架台の鉄骨の発生応力が許容値内であるか?接続ボルトはせん断荷重として荷重を受けるので、せん断応力が許容応力内であるか?確認していました。この内容はOKでしたが、基礎の杭の計算書がありませんでした。杭は、地盤調査結果で分かっている、土の抵抗力(杭との摩擦で杭が抜けないようにする力)で、上記の荷重がかかったときに杭が抜けないかを計算して、杭の地中への埋め込み深さが十分かを確認しておかなければならないはずです。業者は、「杭は埋め込み深さ1.1mが標準でどこでも同じものを使っています」というので、「地盤調査の結果を連絡しているのだから、杭の引き抜き力を計算して十分かどうか計算書を提出せよ」と言って提出させると「埋め込み深さを1.8mにします。杭の長さが足りませんでした」とのこと一挙に杭の埋め込み長さが1.6倍になったことを覚えています。この時、太陽光発電は、結構いい加減な強度計算をしているな、特に大事な基礎がおろそかになっている、と思ったものでした。上記の記事を見ると「やはり」と思わざるを得ません。きちんとした、強度計算の仕方、計算する部分、確認する第3者の体制を作らないと、太陽光発電の普及に対する国民の理解が得られなくなってしまうと思います。

また、通常発電所は建設完了後、1年後に初期不良、不具合を確認するために点検するもので、筆者も自分の太陽光発電が運転開始してから1年後に数万円かけて点検してもらいました。構造物は、一度、一年間四季を経験すると暑さ寒さで伸び縮みを繰り返してボルトが緩んだり、鉄骨などが変形したりしますので、ボルトの増し締めや、変形の修正が必要になります。これをやらないと、以降にトラブルが発生しやすくなるのです。

 

一方、再生可能エネルギーの一種、風力発電では洋上風力発電事業を巡った、国会議員と関連企業の汚職疑惑で、もめています。また、地熱発電では北海道の調査現場での掘削中に蒸気が噴出し、周りに被害が出ました。

これらはすべて、再生可能エネルギーの普及に逆風となりそうですから、きちんと体制、チェック機能を考えなければならない時期に来ていると思われます。

日本は、再生可能エネルギーを最大限普及しないと、エネルギーの自給ができず、いつまでも輸入に対して多額の費用を払うことを続けなければならないので、FIT制度による急速な普及期から、着実安定増加に方向を変える時期と考えます。

 

再エネが冴えねーエネにならないで・・・・