oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

この政権は何がやりたいのか?

先に、年金のマクロ経済スライドや、インボイス制度はステルス増税だろうと書きましたが、ほかにも増税されそうな項目が以下の通り、あるそうです:

1.復興特別所得税の徴収期間延長・・・全世代対象

  復興特別所得税は、東日本大震災の復興を目的に所得税に2.1%上澄みをして徴収されてきたものです。税率を1.0%に下げて2037年までの徴収予定を、14年~20年延長する方向で検討されているそうです。目的は防衛費増額のため。

2.高齢者の介護保険:所得ある高齢者の負担増・・・高齢者対象

  2024年の制度改正を目標に「高齢者の介護保険自己負担率増加」が計画されているとのこと。現状、介護サービスの自己負担率は、原則1割で所得により,2割、3割負担となる制度の2,3割とする所得基準を引き下げることになるのでは、とのことです。

3.国民年金の保険料納付期間延長・・・20-65歳世代対象

  国民年金保険料の納付期間を5年延長する案を検討しているとのこと。現状20歳から60歳の40年間国民年金保険料を納付しますが、それを65歳まで延長する方針のようです。(金額にして約100万円の負担増)

4.森林環境税の新設・・・全世帯対象

  2024年から課税開始されるそうです。1世帯当たり年間1,000円を住民税と合わせて徴収する税金です。目的は、「温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止のため森林整備の財源確保」ということのようです。(年間合計620億円の税金になる)

5.生前贈与の加算期間増加・・・全相続人対象

  相続税では、生前贈与は被相続人が亡くなる3年前までが対象でしたが、2024年1月1日から、7年になります。実質的に相続税の課税対象が増えるので、増税になります。

6.後期高齢者(75歳以上)医療保険の負担増・・・75歳以上の高齢者

  2025年にかけて、75歳以上の後期高齢者医療保険料の上限が引き上げられ、最大で14万円まで納付額が増加する予定です。これは、現在若い人も将来少子高齢化で医療負担が増加することを示唆しているとも言えます。

7.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長・・・受贈者対象

  適用期間が3年延長になり、2026年3月31日までとなりましたが、契約終了時の残額に対する贈与税がの税率が、従来は「受贈者が18歳以上の場合は、特別税率を使用、18歳未満の場合は一般税率を使用する」でしたが、改正では「受贈者の年齢にかかわらず一般税率を使用する」となりました。特別税率より一般税率の方が税率が高いので、実質増税になります。

8.結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長・・・受贈者対象

適用期間が、2年延長され、2025年3月31日までとなりましたが、2023年4月1日以降の契約については、受贈者が50歳に達した場合等において、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、特別税率ではなく一般税率が適用されることになります。上記と同様増税になります。

9.2026年以降に計画されている増税項目:

  ①退職金控除の引き下げ

    勤続年数 x 40万円(勤続20年未満)800万円+勤続年数 x 70万円(勤続20年以上)の現在の退職金控除が雇用の流動性を妨げているとして改正する方針とのこと。

  ②給与所得控除の引き下げ

    現在、給与の約30%程度(収入金額で異なるが)が給与所得控除として差し引かれて所得税が課税されますが、サラリーマンの必要経費としては3%程度に過ぎないとして、3%程度を引き下げることを検討しているそうです。

  ③「異次元の少子化対策」の財源確保

   2026年から月500円を社会保険料に上乗せして徴収することを検討中とのことです。

  ④配偶者控除・扶養控除の廃止・見直し

   これらが、もとで「103万円の壁、130万円の壁」問題が生じているので、女性の社会進出が妨げられている、との考えで、検討されているようです。

  ⑤生命保険料控除の廃止

   投資信託などの投資商品と変わらないから、というのが理由とのことですが、投資と保険は意味が異なると思いますが・・・・

 

このように、増税検討項目が多数あり、「増税メガネ」と言われるのは当然と思われます。

「成長と分配の好循環」と言いながら、分配されたものは増税で巻き上げるような意図が見えるようでは、国民は「分配から増税の悪循環」との強い印象を持ち、財布のひもは締まり、消費が増えず、GDPが増えない、いつか来た道に戻る恐れがあります。せっかく、日銀の緩和政策で企業の業績が上向き、賃金の上昇傾向が続きそうなときに、この政権は意図的にその腰砕けを狙っているようにしか見えないのは筆者だけでしょうか。おりしも、日経新聞に「IMFの見通しでは、来年日本はGDPでドイツに抜かれて世界4位になりそう」との予測が出ており、何をやっているんだ?という気持ちになります。気休めの「減税」1年間より、増税ばかりとの印象をきちんと説明して、国民の疑心暗鬼を無くす取り組みが必要なのではないでしょうか?

 

増税を集めてはやし岸田川