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相続税の計算について

相続の話を書いたので、相続税の計算について知っておいた方が良い内容を書いてみます。
相続財産=(土地・家屋・預貯金等の金融資産) - (負債(借金)+葬式費用+生命保険などの非課税財産)で算出します:

土地:路線価法又は倍率法で土地の面積から算出(路線価、倍率は国税庁のHPで該当住所の土地の図からわかる)
家屋:固定資産税評価額(毎年支払っている固定資産税納付表からわかる)
預貯金等:金融機関に残高証明書を発行してもらう。
負債:あるかどうか被相続人の配偶者などから確認する。
葬式費用:被相続人の葬式にかかった費用(遺体の搬送料、お布施・戒名料・葬式・納骨費用など直接かかった費用。香典返し、墓石、遺体解剖費、位牌・仏壇購入費用、初七日法事費用などは除外される)
非課税財産:死亡保険金=500万円 x 相続人数、
                      死亡退職金=500万円 x 相続人数

<相続税の計算例>
夫が死亡して相続人は:妻、子供(成人)3人の4人
法定相続分通りに相続するとする。
相続財産:土地・家屋=5000万円、預貯金=3000万円、死亡保険金=1500万円、死亡退職金=2000万円の合計11500万円、借金(車のローンが残っていた)=100万円、葬式費用=100万円

課税される相続財産を計算する。控除されるものは、死亡保険金=500 x 4人=2000万円、よって上記死亡保険金1500万円はこの金額内なので除外される。死亡退職金=500 x 4人=2000万、よって上記死亡退職金2000万円もこの金額内のため除外される。また、葬式費用100万円と債務100万円も除外される。従い、課税される相続財産は、
課税相続財産=11500万円 - 1500 - 2000 - 100 - 100 = 7800万円となる。法定相続分通りに相続するので、妻1/2, 子供は各自1/6づつ相続するので、
妻相続分=7800 x 1/2 = 3900万円
子供3人は各自=7800 x 1/2 x 1/3=1300万万
を相続することになる。
相続税を計算するとき、相続税には、基礎控除があり、
基礎控除=3000万円+600万円 x 相続人数、今回は=3000 + 600 x 4人 =5400万円
従い相続税の課税される遺産総額は、7800万円-5400万円=2400万円になる。
相続税計算用の各自の遺産額は、
妻:2400 x 1/2 = 1200万円
子供は各自:2400 x 1/6 =400万円
国税局のHPから、各金額の相続税を額計算表から
妻の税額=1200 x 0.15-50 =130万円
子供各自の税額=400 x 0.1 =40万円  合計相続税額は130 + 40 x 3 =250万円

実際に納税する相続税は各時の課税相続財産で按分する:
妻:課税相続財産=3900万円、相続税= 250万円x 3900/7800 =125万円になりますが、妻には配偶者控除法定相続分または、1.6億円までなら課税されない)のために相続税はゼロとなる。
子供各自:課税相続財産=1300万円、相続税=250万円 x 1300/7800=41万円
従い、実際に納付する相続税の総額は、41万円 x 3人分=123万円となる。

このように相続税の計算はややこしいものですが、どのように計算するかを知っておくことは良いことだと思います。(なお、死亡保険金、死亡退職金は、受取人として指名されている人の財産となります。もし控除額500万円 x 4人分より多い金額の場合は、多い分を課税相続財産に加え、相続税を支払うのは受取人です)

さて、上記の例ですが、もし、妻がすべての財産を相続したらどうなるかというと、課税される総資産額は7800万円で配偶者控除の最大1,6億円より少ないので、相続税は課税されないことになります。このように、相続の場合は、配偶者控除を最大限利用すると相続税を少なくすることができます。が、ここで問題は、子供が遺産を相続できないことに満足するかどうかです。妻がこの後死亡したら、夫の財産も含めて子供が相続することになるのでそれまで待っていれば手に入りますが、それまで待てないと言って争いになるかもしれません。そこで、一案としては、「すべて妻が相続して相続税を払わずに済ます。一方で、妻は子供に対して、今後、暦年贈与の非課税枠(年間110万円までは非課税)を利用して、子供各自に毎年110万円づつ贈与し、12年後には110 x 12 = 1320万円になるので、子供各自の法定相続分1300万円になる。」という方法があります。これも12年かかるので妻が生存し、且つ子供の同意が必要ですが、夫の相続で相続税123万円を課税されないで済みます。

相続税を少なくするために、亡くなる前に暦年贈与を何年か実施される人もいると思いますが、法改正で、暦年課税は相続開始前3年から7年分まで相続財産に含めることになったので、相続開始前に贈与すると課税相続財産が増えることになりますので、上記の相続後に暦年贈与を利用するのも一つの方法と思います。