oldmanvitoriablog’s diary

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贈与税について

贈与税は、人(贈与者)が無償で不動産や金銭、モノの提供を申し出て、相手(受贈者)がそれに同意した時に成立する贈与契約に対してかかる税金で、受領した人(受贈者)が納します。贈与税の計算式は:

贈与税={(その年中に取得した贈与財産価額の合計額) -( 基礎控除額110万円+配偶者控除)} x 税率
配偶者控除とは:婚姻期間20年(端数は切り捨て)以上の夫婦間に認められている贈与税の優遇制度で、居住用不動産を買うためのお金や夫、妻名義の居住している不動産の一部を妻・夫に贈与する(贈与を受けた夫または妻は贈与を受けた翌年3月31日までに住んでいないとだめ)などの場合に2000万円まで(基礎控除を含めて2110万円まで)贈与税はかからないというものですが、この適用は、「一生に一度だけ」です。
税率:国税庁のHPに速算表が載っていますが、速算表は2種類あります。
①特例税率:18歳以上の者が直系尊属(父母、祖父母等)から贈与を受けた場合の税率
②一般税率:①以外の場合に適用で①より税率が高くなっています。

例えば、妻が夫から200万円(一般税率適用)、父から500万円(特例税率適用)、2023年中に贈与を受けた場合の税金は
1)700万円を一般税率で計算し、その税金 x 200/700で計算した税金
  700 x 0.4 - 125万円=155万円、155 x 200/700=44万円
2)700万円を特例税率で計算し、その税金 x 500/700で計算した税金
  700 x 0.3 - 90万円= 120万円、120 x 500/700 = 86万円
合計納付税額は、44 + 86 = 130万円という計算になります。
贈与税は、その年分を翌年の確定申告期間(2/15-3/15)に申告納税します。

相続財産を減らす目的で使う暦年贈与が年間が110万円以下となっているのは、上記の贈与税基礎控除が110万円であることが理由です。

さて、上記の配偶者控除で2000万円分の不動産を夫が妻に相続前に贈与して、相続財産を減らす、という相続税対策が考えられますが、特にも害にもならないと思われます。
夫が亡くなった場合、妻は今では配偶者居住権があって住み続けられますし、相続財産は法定相続分または、1.6億円まで配偶者控除相続税がかかりませんから、妻に相続させたければ、遺言で記載しておくだけで良いので、どちらも税金がかからないで済むことになり、同じ結果になるからです。

贈与税で注意すべきことは;
1)低額贈与:身内だからなどの理由で時価より著しく安い価格で譲渡(売買)されると、時価との差額が贈与とみなされ贈与税がかかります。
2)離婚に伴う財産分与:原則として贈与税はかかりません。不動産を売って財産分与したようなときは譲渡所得税がかかる場合があります。
3)土地の使用貸借:親の土地を無償で借りて子供が家を建てる場合、土地の贈与ではないので、贈与税はかかりませんが、将来、親が亡くなって相続が起こったときは、この土地は「更地」として評価されるので、普通に地代を取って貸している場合よりも相続税評価額は高くなります。(底地評価でないから)
4)負担付贈与:借入金が残った土地を贈与する場合のような負担付贈与の場合は、土地の評価額と借入金(負担額)の差額が贈与されたと見なされ、贈与税がかかります。
5)死因贈与:「私が死んだらこの土地をあげる」というような贈与者の死で効力が生じる贈与は、贈与ではなく、相続税の対象です。