oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

どう使う新NISA by 高齢者

2024年1月から始まる新NISA(Nippon Individual Saving Account, 文字通り訳せば、日本個人貯蓄口座)この制度を一般には「少額投資非課税制度」と言います。その特徴は:

1.「18歳以上の居住者等」が制度の対象者である。

2.つみたて投資枠年120万円、成長投資枠年240万円を限度に利用できる、また、両者の併用ができる。併用の場合の限度額は、年360万円である。いずれも、購入金額ベース。収益分は、はみ出ても良い。

3.収益は非課税でその非課税期間は、無期限(一生)である。

4.利用開始は、2024年1月1日から。

5.生涯の非課税保有限度額は、一人1800万円、その内成長投資枠は1200万円まで。

6.投資対象は、つみたて投資枠では、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託、成長投資枠は、上場株式・投資信託等(整理・監理銘柄、信託期間20年未満、高レバレッジ型および毎月分配型の投資信託は除外される)

7.現在、現行のNISA用口座を開設している場合は、同じ金融機関に自動的に新NISA口座が開設される。金融機関を変更したい人は、変更前後の金融機関に届け出をする必要がある。口座変更は、年一回その年の取引を行う前にすることができる。

8.現行NISAへの投資は、2023年12月31日で終了し、一般NISAは最長5年間、積立てNISAは最長20年間、ジュニアNISAは、最長5年間または、口座開設者が18歳になるまで、非課税のまま運用できる。期間が終了した後は、ロールオーバーできず、順次課税口座に移管され、移管時の時価が課税口座での取得価格となり、その後売却した時の税金はこの移管時の時価を基準に算定される。ジュニアNISAは、2024年1月1日以降、18歳未満でも非課税のまま全額引き出すことができる。

9.非課税枠は簿価(取得時の価額)で管理されるので、値上がりしても減らない。資産を売却すると、翌年にその簿価ベースの非課税枠が復活する。

10.つみたて投資枠の積立額の変更や、ボーナス月の増額なども可能。

11.海外赴任した場合、「(非課税口座)継続適用届出書」をNISA口座のある金融機関に出国の前日までに提出すれば最長5年間NISA口座で資産を保有することができるが新規の買い付けはできない。5年以内に帰国し、「帰国届出書」を提出すれば、NISA口座での資産保有と新規の買い付けができるようになる。5年以内に帰国できないときは、NISA口座は廃止され、資産は一般口座(課税口座)に払い出され、その時点から、配当金や売却益などに課税される。

12.NISA口座で運用していた人が亡くなった場合、相続人は死亡を知った日以後、遅滞なく金融機関に「非課税口座開設者死亡届出書」を提出する。相続が生じた時点で、NISA口座内の資産は払い出されたと見なされ、資産は手続き後相続人の口座に移される。その際、相続人のNISA口座には、受け入れることはできない。相続人の特定口座または、一般口座に移すことになる。相続発生までの含み益には課税されず、その時点の評価額が、相続財産に加算される。相続人のNISA口座に入れて運用したいときは、一旦売却してから、その資金をNISA口座に移すことになる。

最後の2つの規定は、ややこしいですが、高齢者にはあまり関係ないと思います。

この新NISAは、年間360万円投資できますが、この金額を投資できるのは、たぶん年収1,000万円超の高額所得者と思われますので、この制度自体は、「金持ち優遇」と思われても仕方のない制度です。しかし、従来よりは、期間限定も無くなり、使いやすい制度になっていますので、国民全員、高齢者も含めて使う方が得策と考えられます。

さて、高齢者でも、年金受給開始後、20-30年程度は、NISA制度を使う期間が残っていると考えられますので、筆者も含めて、以下のように使ったらどうでしょうか?

1.すでに、NISA口座で運用している人は、そのまま、新NISA口座で続けるべきでしょう。金額を変更するか検討するくらいで良いと思います。

2.すでに、資産を証券会社の特定口座や一般口座で運用している人は、新NISA口座を作って、限度額の範囲で、資産を新NISA口座に移した方が良いと思われます。但し、現在、大きく値上がりしている株を持っているような場合は、新NISA口座に移す場合に、一旦売却しなければならず、その場合、売却益に20.315%の税金(所得税・住民税)がかかり、金額が目減りしてしまうので、値上がりが落ち着いてからの方が良いかもしれませんので、注意ください。

(100万円を年利3%で運用したら20年間で、約180万円になり、特定口座のままにしておくと、80 x 20.315/100 = 16.2万円の税金がかかりますので、新NISA口座におけば、税金の分だけ、利益が増えます。)

3.まだ、働いている人は、その収入の一部を新NISA口座で運用するようにしたら良いと思います。

国がいろいろな増税策を企んでいる昨今では、この制度のように、国民に恩恵のある数少ない制度は(増税分を取り返す、くらいの気持ちで)有効に利用したいものですね。