oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

自分で計算する住宅ローン2 元利均等返済

元金均等返済に対して、元利均等返済というものもあり、これが現在金融機関の住宅ローン返済の主流となっています。
元利均等返済とは、毎月の返済額が、借入期間を通して一定額である返済方法です。
借入金:A (円)
年利:M1 (%)
月利:m1 (%)=M1/12
返済年数:NN (年)
返済月数:N(月)=NN*12  (*は掛けるの意味です)
P = (1+m1/100)^N  (^は累乗の意味です。)
とすると(累乗が入るので、Pという記号に累乗を含めたもの)
1.1か月あたりの返済額(月額)z1(円)は、次式であらわされます:
       z1 = Am1/(1-1/P)/100 (円)
  この式は、A, m1, P(m1, N)とすでに決まっている項目で成り立っており、z1の数値が変化しないことを意味しています。この金額が借入期間を通しての毎月の返済額になります。元金均等返済は、元金の返済額を一定にしますが、元利均等返済では、毎月の合計返済額(元金+利息)を一定にしますから、元金の返済金額は利息の大きい返済始めは少なく徐々に大きくなることになります。上式の(1-1/P)が大きいほど、返済額z1
は小さくなりますから、Pすなわちm1(月利)を変えず、N(返済期間)が大きいほど毎月の返済額z1は小さくなり、Am1/100(元金に月利を掛けた金額)に近づきます。返済額の元金均等返済の時と同じ例を使用して計算すると、
借入額:A=40,000,000円
年利:M1=1.5%,  月利m1=1.5/12 = 0.125%
返済年数:NN=35年、返済月数N=35 x 12 =420ヶ月
P = (1+0.125/100)^420 = 1.6899
z1 = 40,000,000 *0.125/(1-1/1.6899)/100 = 122,474(円/月)
となり、これが、毎月の返済額になります。
(m1=0.125%, N=1200ヶ月(100年ですが、実際には無い期間です)のように大きくすると、z1 = 64,378円となり、Am1/100 =50,000円に近づいていきます。)
元金均等返済の時は、始めの月は、145,238円でしたから、それより少なくなっています(元金部分が少ないから)。一方、元金均等返済では、360ヶ月目は、102,500円の月額になっていますから、35年の返済期間の途中で、元金均等返済の方が、返済月額が小さくなって逆転することになります。
2.Nヶ月間の総返済額X(円)は次式で求められます。上の月額返済に返済完了までの期間(月)Nを掛けたものになります。
  X = ANm1/100/(1-1/P)
上の例では、
  X = 122,474 x 420 = 51,439,080(円)
となって、元金40,000,000円に対して、利息分S = 11,439,080円となります。
元金均等返済に比べて、914,080円利息分が増加しています。すなわち、同じ条件で計算すると元金均等返済の方が、総支払額を抑えられる、ということがわかります。
(金融機関が元利均等返済を主流とするのは、この返済総額が大きい方が良いから?)
3.さて、返済期間Nヶ月の途中、N1ヶ月の時点である金額K(円)を繰り上げ返済した場合の計算は以下のようにします。
①N1の期間に返済した返済総額XN1は、上のz1をN1ヶ月間支払ったことになるので、
  XN1 = z1 *N1 =AN1m1/(1-1/P)/100 (円)
上の例を使い、元金均等返済時と同じ13年後、N1 = 156ヶ月とすると
  XN1 =122,474*156 = 19,105,944 (円)
②この時の、残元金A2(円)は次式で計算できます。
       P1 = (1+m1/100)^N1として
  A2 = (P1(Am1/100 - z1)+z1)*100/m1 (円)
この時までに返済した元金A1(円)は、
  A1 = A-A2 (円)
この時までに、支払った総額のうち、利息分S1(円)は、
  S1 = XN1 - A1 (円)
上の例で計算すると、
  P1 = (1+0.125/100)^156 = 1.215
       A2 = (1.215(40,000,000*0.125/100-122,747)+122,747)*100/0.125
            = 27,487,516(円)
       A1 = 40,000,000-27,487,516 =12,512,484 (円)
       S1 = 19,105,944- 12,512,484 = 6,593,460 (円)
となります。
③残りの期間(合計期間は変更しないとして)N2 = N-N1 として、その期間の元金AA(円)は、
  AA = A2 - K (円)
上の例で,繰り上げ返済金額を元金均等返済と同じK=10,000,000(円)とすると
  AA = 27,487,516 - 10,000,000 = 17,487,516(円)
となります。
④残りの期間N2の毎月の返済額z2(円)は、その期間の月利をm2(%)として
  P2 = (1+m2/100)^N2  とすると
  z2 = AAm2/100/(1-1/P2) (円)
上の例で、m2 =0.125%,(繰り上げ返済前と同じ)とすると、
       N2 = 420-156 = 264ヶ月
  P2 = (1+0.125/100)^264 = 1.391
        z2 = 17,487,516*0.125/100/(1-1/1.391) = 77,766 (円)
となります。繰り上げ返済により、毎月の返済額は、約12万円から約8万円に減少しました。
⑤N2期間の総返済額XN2(円)は、
  XN2 = z2 *N2 = AAN2m2/100/(1-1/P2)(円)
上の例では、
  XN2 = 77,766*264 = 20,530,224(円)
⑥N2期間の利息分S2(円)は、
  S2 = XN2 - AA (円)
上の例では、
  S2 = 20,530,224 - 17,487,516 = 3,042,708 (円)
⑦繰り上げ返済による減少した利息分は、
  SS = S-(S1+S2) (円)
上の例では、
  SS = 11,439,080 - (6,593,460 + 3,042,708) = 1,802,912(円)
となって、13年(156ヶ月)後に1千万円の繰り上げ返済実施により、毎月の返済額は約4万円減少し、総返済額は、約180万円減少させることができたことになります。

元利均等返済の場合は、上の計算式で自分でローン返済の計算ができますが、「累乗」が入ってくるので、関数電卓または、パソコンの表計算エクセルなどを使うと良いかと思います。