oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

自分で計算する住宅ローン1 元金均等返済

住宅ローンの返済については、金融機関等で「返済シミュレーション」なるものが用意されていて、簡単に計算できますが、どのような計算をしているのか?計算は正しいのかについてはわかりません。ここでは、自分で計算する場合の計算式を記載し、意味を考えてみます。返済方法としてよく利用されている元金均等返済元利均等返済について比較することにします。まず、元金均等返済についてです。
元金均等返済とは、毎月返済される金額の中に占める元金の額がいつも同じ返済方法で、毎月の返済額が徐々に減る(利子分が減る)ので、利息が抑えやすい方法です。
(なお、計算式は、長くなるので、途中の計算の説明を省略しています。)
借入額:A (円)
年利:M1 (%)
月利:m1 (%)=M1/12
返済年数:NN (年)
返済月数:N(月)=NN*12  (*は掛けるの意味です)
とすると、
1.nか月後の返済額(月額)xn(円)は、次式であらわされます:
  xn = A(1/N+m1/100 - (n-1)m1/N/100) (円)
  または、書き直して
  xn = A/N + Am1/100 - A(n-1)m1/N/100
       ここで、A/Nは返済期間中の一か月あたりの元金の返済額を示します。毎月この金額が元金分として返済されます。後の2項は利子分です。返済最初の月の場合、n=1を上の式に代入すると利子分は、第2項のみとなり、Am1/100で、元金に月利分が掛けられたものが利子分と理解できます。この後、nが大きくなる(返済月が経過する)と第3項のマイナス分が大きくなってきますから、利子分が減っていくということになり、元金均等返済では、返済開始月の支払額が最大(利子分が最大)で、その後徐々に返済額が減っていくことがわかります。
例として、
借入額:A=40,000,000円
年利:M1=1.5%,  月利m1=1.5/12 = 0.125%
返済年数:NN=35年、返済月数N=35 x 12 =420ヶ月
とすると、
1ヶ月目の返済額:145,238円(n=1)
6ヶ月目の返済額:144,643円(n=6)
12ヶ月目の返済額:143,929円(n=12)
360ヶ月目の返済額:102,500円(n=360)
420ヶ月目の返済額:95,357円=40,000,000/420の利子が無くなり元金分のみ(n=420)
このように、利息が徐々に減って、月々の返済額が減ってきます。最後は元金分のみになります。
2.Nヶ月間の総返済額X(円)は以下の式で求められます:
  X = A + A(N+1)m1/200 (円)
       上の例では、X=40,000,000 + 40,000,000*(420+1)*0.125/200 
                               =40.000.000 + 10,525,000 = 50,525,000 円
  第1項が元金で、第2項が利子分です。この例では、利息分をS(円)とすると、
S = 10,525,000円となります。
35年返済で、年利1.5%で4,000万円借りると、総返済額は、利息分の約1,000万円が加わって、約5,000万円となるということを表しています。   
3.Nヶ月の途中、N1ヶ月の時点で、ある金額K(円)を 繰り上げ返済した場合の計算は以下のようにします。
① その時までに支払った返済総額XN1は、
  XN1 = AN1/N(1 + Nm1/100 - m1(N1-1)/200)  (円)
 上の例を使って、N1として、住宅ローン控除が適用できる期間の13年経過時点とするとN1=13 *12 = 156ヶ月、これを上式に代入して計算すると
  XN1 = 21,217,857 (円)
 となります。
②この時に返済済みの元金A1(円)は
  A1 = AN1/N  (円)
    上の例では、
  A1 = 40,000,000*156/420 = 14,857,143 (円)
 従い、利息分の金額S1(円)は
  S1 = XN1 - A1 = 6,360,714 (円)となります。
③繰り上げ返済の金額K(円)とすると、残りの元金AA(円)は、
  AA = A - A1 - K (円)
  上の例で, 13年後に1千万円繰り上げ返済したとしてK = 10,000,000(円)として計算すると
  AA = 40,000,000 - 14,857,143 - 10,000,000 = 15,142,857 (円)
繰り上げ返済の金額はすべて、元金に充てられるので、これが、新しい元金となります。
④繰り上げ返済後のn2か月後の返済額は、月利をm2(%)として、1項と同様に
  xn2 = AA(1/N2+m2/100 - (n2-1)m2/N2/100) (円)
で求められます。
上の例を計算すると、
AA=15,142,857 (円)
N2=420-156=264(ヶ月)(合計の返済月数は変わらず、月々の返済額を減らす)
m2=0.125%(繰り上げ返済前と同じ年利1.5%とする)
繰り上げ返済後
1ヶ月目の返済額:76,288円
6ヶ月目の返済額:75,929円
12ヶ月目の返済額:75,499円
264ヶ月目の返済額:57,431円(AA/N2の繰り上げ返済後の月々の現金返済額)
このように、繰り上げ返済により、月々の返済額が大幅に少なくなります。
⑤繰り上げ返済後のN2の期間の総返済額XN2(円)は、2項の式と同様にして
  XN2 = AA + AA(N2+1)m2/200 (円)
上の例を計算すると、
        XN2 = 15,142,857+15,142,857(264+1)0.125/200 =17,650,893(円)
⑥繰り上げ返済後のN2期間の利息分S2(円)は
  S2 = XN2 - AA (円)
上の例では、
  S2 = 17,650,893-15,142,857=2,508,036 (円)
⑦繰り上げ返済額K(円)をN1ヶ月経過後に実施したことによる、総返済額(利息分)の低減効果は
  SS = S-(S1+S2) (円)
で求められ、上の例では
  SS = 10,525,000 - (6,360,714 + 2,508,036) = 1,656,250 (円)
4,000万円を35年返済で借入れ、元金均等返済した場合、年利1.5%とすると、当初の毎月の返済額は約14.5万円でしたが、13年経過時点で、繰り上げ返済を1,000万円実施した場合、月々の返済額は約7.5万円に低下し、借入時から35年経過して返済完了した時の総返済額は、約165万円減額することができたという計算ができたということになります。

このように、上の計算式を使うと、自分で住宅ローン返済の元金均等返済方式の場合の計算ができ、金融機関のシミュレーションも確認することができます。面倒と思われる場合は、表計算のエクセルで計算するようにすれば、簡単に計算できます。