oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

年金のリアル その3 年金だけで生活できますか?

結論から、先に言うと、平均的な高齢夫婦無職世帯の家計収支からは、年金だけで生活できるヒントは得られるが、各個人で自分の家計を良く検討して、年金だけで生活できる、出来ないを判断することになります。

総務省家計調査報告(2022, 令和4年)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(高齢夫婦年金生活者)の家計収支(月平均)は:

収入:24.6万円

   社会保障給付(年金、恩給など):22.7万円

   その他(パート、アルバイト等勤労収入):1.9万円

非消費支出:3.2万円 (税金と社会保障費、従い、可処分所得は21.4万円)

消費支出:23.7万円 

   食費:      6.8万円         

   住居費:     1.6万円

   水道・光熱費:  2.3万円

   家具・家事用品費:1.0万円

   被服及び、履物費:0.5万円

   保険医療費:   1.6万円

   交通・通信費:  2.9万円

   教育費:     0万円

   教養娯楽費:   2.1万円

   その他費用:   4.9万円(諸雑費、交際費、仕送り金)

収支(可処分所得ー消費支出):-2.3万円

65歳以上の夫婦二人の無職世帯は、上記の収入からわかるように、収入のほとんどは、年金と言えます。年金22.7万円は、夫厚生年金、妻国民年金(専業主婦)の場合と思われます。厚労省の国民家計基礎調査(2022年)によると高齢者世帯における公的年金、恩給の総所得における割合が100%の世帯は全体の44%となっていますので、高齢者世帯の約半分が、上記のような生活費の状況と推定されます。

上記のように家計収支は赤字ですから、65歳から100歳まで生きるとすると、2.3 x 35年 x 12ヶ月=966万円の貯蓄を持っている必要があり、その貯蓄を取り崩して生活していると考えられます。厚労省の国民家計基礎調査(2022年)によると、高齢者世帯の平均貯蓄額は1,603.9万円ですから、高齢者の無職世帯で年金だけで生活しても平均的な貯蓄があれば、貯蓄を取り崩しながら、生活できている、と考えられます。

(注:上記の平均家計収支では、収入が年金のみではなく1.9万円プラスされていますから、年金だけと考えると1.9 + 2.3 = 4.2万円の赤字になり、4.2 x 12 x 35 =1,764万円必要ということになり、上に示した平均貯蓄額1,603.9万円でも結構ぎりぎりと言えます。これが2,000万円問題にもつながっている?)

さて、上記の家計収支から、消費支出の住居費は、1.6万円と少ないことから、住宅ローンは完了していて、固定資産税程度の負担となっていることがわかります。家賃も払っていない金額ですから、年金だけの生活では、持ち家で住宅ローンが完了していることが条件の一つと推定されます。また、教育費がほぼゼロということは、子供の教育が終了して、就職又は、独立していることが伺えます。これも年金だけで生活するためには重要な条件と思われます。また、上記の平均的な家計収支では、赤字ですから、比較的金額の多い、交通・通信費(格安携帯としたり、自家用車をやめるなど考える等)、教養娯楽費、その他費用(交際費等)は、各家庭でコントロールできる項目なので、赤字をさらに少なくする検討も必要と思われます。

従い、年金だけで生活することを考える場合、少なくとも

1.持ち家で住宅ローンは完済していること

2.子供の教育は完了していること

3.コントロールできる消費支出項目を管理できること

が前提になりそうです。あくまで上記の厚労省総務省の高齢者の平均的家計像を基にしたら、という話です。逆に、上記の平均的な高齢夫婦無職世帯の家計収支を参考にして、消費支出の配分を検討すると、年金だけで生活できるかどうかの目安にはなるのではないかと思われます。ただし、貯蓄はできるだけ準備しておくに越したことはないことも理解できると思います。

長々と書きましたが、実際には、個人、個人により、生活スタイル、嗜好、どの消費に重点を置くか、等々千差万別ですから、各世帯について詳細に見なければ、年金だけで生活できる、出来ないは判断できない、というのが結論です。

 

敵を知り(もらえる年金額を確認し)己を知れば(実際の自分の生活費を知れば)百戦(長い年金生活)殆からず

 

筆者の場合は、別記事に書きましたが、共働きであったので、二人分の厚生年金を受給しているので、何とか、家計収支はとんとんというところを維持しています。