oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

エネファームは本当にエコなのか?

今年の春、我が家のガス給湯器が故障しました。ガス業者に点検してもらうと10年以上経過していて、不具合部品はもう製作しておらず、在庫もないとのこと。やむなく、新品を購入することにしました。(風呂や台所で困るため)その際、ガス会社から、エネファームを追加設置しないか?との提案があり、電気+ガス代が、節約になる、との売り文句でした。

エネファームとは、家庭用の燃料電池ジェネシステムで、都市ガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させ、発電するシステムで、その時発生する熱を使って、お湯も沸かすというシステムです。提案されたエネファームは、発電能力400W, お湯は40oC x 20リットル、年間連続運転で寿命12年というもので、値段は70万円とのことでした。

400Wの発電能力で、何が使えるかというと:

冷蔵庫、照明、液晶テレビ、給湯(風呂、シャワー)スマホ充電、ノートパソコン

という内容で、エアコン、ドライヤー、電子レンジ、アイロン、ホットプレート、洗濯機のようなものは使用できませんが、一応、最低限の生活はできそうです。

エネファームは、都市ガスの供給があれば、発電できるので、災害で電気が停止した場合でも使用できる、というのがもう一つの売りだそうです。購入すると専用のガス料金を設定して通常より割引のガスを提供するとのこと。また、このガス会社は電気も供給できる(電力自由化後、電力小売り事業に参入している)ので、電気の割引もするとのことで、ガスと電気双方をこのガス会社に変更することで検討してみました。

直近1年間の我が家の電気・ガス使用量と代金のデータがあったので、提供される電気・ガスの料金メニューで計算しました。

                設置前       設置後

年間電気使用量(kWh)                        6,518                           3,062

年間電気料金(円)       262,295                       122,604

年間ガス使用量(m3)                             601                           1,137

年間ガス料金(円)                       117,606                        173,810

合計年間電気・ガス料金(円)  379,901                        296,414

年間料金削減額(円/年)         83,487

投資回収年(年)70万/料金削減額     8.4年

寿命12年以内に回収できるので、設置メリットあり、との結論になりますが、これには裏があり、提示ガス料金は、国の燃料補助金30円/m3が含まれた料金だったので、補助金を含まない条件で、再計算すると年間ガス料金は、208,327円となり、年間料金削減額は、48,970円/年で、投資回収年は、70万÷4.897 = 14.3年と、寿命12年を超えるので、設置メリット無しとの結論になりました。12年で、投資回収するには、エネファームの値段を70万円から10万円減の60万円にする必要があるとの結論になりました。この計算結果をガス会社担当者に送り、値引きを交渉すると、担当者曰く「こんな計算する人今までいませんでした」筆者は、「計算して当たり前だろう、メリットないのに設置する人はいないよ」とのやり取りをして、結局、担当者から、「エコ製品の国の補助金を申請するので、その分の値引き(10万円より少ないが)で了承願いたい」というので、筆者は、担当者もかわいそうになり、ガス料金ももっと輸入価格が下がれば、燃料調整額が下がる可能性もあるだろうから、と設置することにしました。(災害時の発電可能とのメリットも考慮して)結局、給湯器本体と風呂暖房も追加して、合計150万円の出費となりました。(エネファーム以外は、メリットというよりも必需品ですから、メリット計算はありません。)

現在、毎月の電気・ガス料金を記録して毎年一年間の料金を確認するつもりです。

エネファームの数年前の値段は、100-120万円でしたから、メーカーも結構頑張って、値段を70万円まで下げてきた努力は認めますが、もう少し頑張らないと広く普及しないと思われます。こういうエコ製品は、実際に自分の家で設置した場合、本当にメリットがあるのかは、きちんと検討することが肝要と、再認識した次第です。