oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

エネルギーの話 その8 アンモニア混焼

燃焼してCO2の排出が無いアンモニアが、火力発電所で燃料に混ぜて燃やされるケースが増加しています。火力発電所で、アンモニアを混ぜて燃焼するとCO2の排出量が減少するからです。アンモニア混焼用、アンモニア専焼用のバーナーの開発も進んでいるようです。(バーナーは火力発電所の蒸気発生用のボイラで燃料を燃焼する機器です)しかし、アンモニアを使用するのが本当に良い方向なのか?若干疑問があります。
アンモニアを燃料として使用する場合の問題点は以下です:

1.アンモニアは燃焼するとCO2は排出しないが、窒素酸化物を発生する。
  アンモニアはNH3と表わされ、水素Hが燃料として燃焼しますが、窒素Nがあるため燃焼すると酸素と結合してNO, NO2を発生します。いわゆるNOxが発生します。この窒素酸化物は光化学スモッグなどの環境に良くない生成物ですので、大気へ排出する場合は、環境規制値に収まるようにしなければなりません。従い、アンモニアの混焼率を上げるためには、窒素酸化物除去装置(脱硝装置といいます)を強化しなければなりません。すなわち、アンモニア再生可能エネルギーのようなクリーンエネルギーではないのです。将来的には窒素酸化物を発生し続ける燃料は使用しない方が良いと思います。
2.火力発電所アンモニアを燃料として使用する量が増加すると、肥料(窒素、リンなど)の原料として使用するアンモニアの量が逼迫します。燃料で使用するよりは肥料の原料とする方が、その重要度は高いと思われます。

従って、とりあえず短期的にCO2の排出量を減らすためにアンモニアを使用することには異議はありませんが、将来的にはアンモニアでなく、別記事に書いたように水素を燃料とする発電所にして、再生可能エネルギーと併用するのが良いと思います。