oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

エネルギーの話 その5 将来の電源構成(推定)

脱炭素を考えると、将来の電源構成は、再生可能エネルギー及び、水素・アンモニア燃料による発電が主体となるべきと考えます。「2050年に実質CO2排出ゼロ」を掲げる我が国ですが、たぶん現状から想像するときわめて難しいと思いますが、理想的な電源構成の将来像を考えてみると、以下のようになると思われます:

環境省地球温暖化対策室が、令和4年4月にまとめた「我が国の再生可能エネルギー導入ポテンシャル」によると事業性を考慮(設置して事業として成り立つという意味)した再生可能エネルギーの導入可能な容量(発電量)は以下の通りです:
(ここに「バイオマス」が含まれていないことに注意)

太陽光(億kWh):    473 ~ 5,041
陸上風力(億kWh):   3,509 ~ 4,539
洋上風力(億kWh): 6,168 ~ 15,584
中小水力(億kWh):  174 ~ 226
地熱(億kWh):            630 ~ 796
合計(億kWh):       10,954 ~ 26,186

その4に示した2019年の実績発電容量10,240億kWhからすると、再生可能エネルギーだけで同程度から最大で約2倍の導入可能量が存在することになります。従い、将来は再生可能エネルギーだけで我が国の必要電力を賄うことができそうに見えます。ここで問題は、地熱以外の再生可能エネルギーは、自然任せであり、その発電出力が安定しないで、常に気象条件で変化してしまうので、安定電源とするには膨大な蓄電池との組み合わせが必要になることです。そこで、不規則な再生可能エネルギーの発電電力を利用して、水を電気分解し、水素を取り出し、水素タンクに貯蔵して発電するようにすると、安定的に発電することが可能になります。すなわち、現在の化石エネルギー(石炭、石油、天然ガス)を燃料とする火力発電所の燃料を水素に置き換えた水素発電所にするということです。(実際、M社では水素ガスタービンを開発しています)こうすると、現状の送電系統も使用でき、好都合です)

再生可能エネルギーで発電した電力をそのまま使用するのと、その不規則な発電を安定化するための水素発電を組み合わせるのが、たぶん電源構成の将来像と思われます。

例えば、再生可能エネルギーによる発電電力を全体の60%, 水素発電を40%とすることで、脱炭素の電源構成となると思います。(こうすると原子力発電も不要となります)

一次エネルギーの供給先の約半分を占める発電分野は上記のような電源構成で化石エネルギーの供給はゼロにできると思われますが、残りの半分を占める産業(製造業)分野は、その3に記載したように、製鉄業の水素還元製法や石油化学の循環経済または、大気中のCO2を吸収して必要な物質を作る人口光合成などが開発されないと脱炭素は進まないと思います。一方、家庭では、太陽光発電パネルを設置し、その電力と蓄電池を使用してオール電化にすることで、脱炭素に向かうようになると思います、または、P社が開発しているように、家庭用の太陽光発電からの電気で水を分解して水素を取り出しタンクに貯蔵し、その水素を利用してエネファームのような燃料電池で発電する(こうすると蓄電池は不要)システムになっていくと思われます。車や船の動力は電気または、燃料電池となり、航空機も燃料電池または水素エンジン(航空機のエンジンはガスタービンです)となっていくものと思います。こうして、脱炭素社会に向かうと考えますが、相当な時間がかかるものと思いますので、筆者はその実現した姿を見ることは無いと思っています。地球温暖化の過度な進行を防ぐことができるかどうかは上記のような脱炭素技術が実現するかどうか、またその実現までのスピードが間に合うか、にかかっていると思います。