oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

エネルギーの話 その2 日本のエネルギー事情

2022年のエネルギー白書によると、2021年の日本の一次エネルギー(供給されたエネルギー)の構成は:
原子力:                3.2%
水力・再生可能:13.6%
天然ガス:           21.4%
石油:       36.0%
石炭:                  25.8%
となっており、化石燃料の比率は、83.2%また、その90%以上を中東に依存しています。従い、中東の地政学的問題が表面化すると日本のエネルギー供給にきわめて大きな影響があると言えます。一方、エネルギー自給率原子力を含めても16.8%であり、まったく脱炭素としての再生可能エネルギーの比率が高くなっていないのが現状です。一次エネルギーの総量は、18,670PJ(PJは10の5乗ジュールです)で原油換算すると、482百万キロリットルで30万トンタンカー約1,520隻分に相当します。(30万トンタンカー3.6隻分で東京ドーム満杯と同じになるので、年間東京ドームの423倍の量の原油を消費している計算になります)このうち、電気を作る発電用に投入される一次エネルギーは8915PJでその出力としての電気量は3728PJで事業用発電(電力会社)と自家発電(民間会社)で合計約1兆kWhの電力になります。従い、日本の発電設備の発電効率は平均3728/8915 x 100 = 約42%となります。この意味は、発電に使われるために供給されたエネルギーの内、42%が有効に使われ、残りの58%が捨てられるエネルギーということです。(半分以上が捨てられるのが、平均的な発電システム(ランキンサイクルと言います)の宿命です)この捨てられるエネルギーは蒸気を作るボイラの排気ガス(これが化石燃料の場合にCO2を排出する)として大気に捨てられると同時に蒸気タービン発電機の復水器という熱交換器の冷却水(海水)の温度上昇となって主に海に捨てられます。
原油の輸入価格を70円/リットルとすると(為替140円/米ドルとすると約80米ドル/バレル)全化石エネルギーの輸入代金は原油換算で約28兆円でその内、電力に投入された化石エネルギーの金額は16兆円でその58%は約9,3兆円ですから、この膨大なお金を捨てているのと同じことになります。

ですから、エネルギー安全保障、二酸化炭素の排出削減、またお金(貿易収支・経常収支)の面でも、化石エネルギーを削減することは日本にとって大きなメリットが見込める課題だと言えます。

 

改正1:金額を修正しました。