oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

エネルギーの話 その3 日本の発電以外の状況

その2に示したように、日本に投入される一次エネルギーの約半分は電力を作るために投入され、残りの半分の一部は天然ガス(都市ガス)や蒸気、熱として家庭や商用ビルサービス業などに供給されますが、大部分は製造業に供給されます。製造業に供給されるエネルギーの内、約30%が製鉄業、約40% が石油化学工業の供給されこの二つの分野で約70%を占めます。この分野が、発電以外の脱酸素のキーを握っています。

製鉄業では、主に石炭を使用し、石炭から炭素の塊のコークスを作り、高炉で鉄鉱石と反応させ、鉄鉱石の酸化鉄から酸素を還元して、銑鉄を作ります。コークスを作るときに出るコークス炉ガス(COG)、高炉から出る高炉ガス(BFG)及び、銑鉄を処理する転炉から出る転炉ガス(LDG)を燃料として使用し、自家発電にも使用します。製鉄会社の工場で高炉のある所に、円筒の大きなタンクが通常3個見えると思いますが、これらのタンクは上記の3つのガスの貯蔵用タンクです。これらのガスは当然、燃焼するとCO2ガスを排出するので地球温暖化の面からはマイナスです。従い、最近は、コークスの代わりに水素で鉄鋼石を還元する方法を開発している状況です。水素で還元すると、コークスは不要となり、高炉ガスも炭素を含まなくなりますので、CO2排出の大幅削減となります。なお、高炉ではなく、CO2排出のすくない電炉で鉄鋼を製作するメーカーもあり、こちらは鉄くずを原料にして鉄鋼を製作するので、電力を多く使用します。

石油化学工業は、種々の化学製品の原料となるナフサや、ガソリン、灯油、重油など、国民生活に現状欠かせない製品を製造しています。原油使用量を減らすためには、代替品の使用や、リサイクルなど進め、循環経済(製造、販売、回収、再製造のサイクルで無駄を出さず、余分な石油を使用しないようにしていく必要があります。電気自動車(EV)が普及するとガソリンの使用量は減りますし、船の燃料も代替燃料が見つかれば重油消費量を減らすことができます。このような使用側の低減努力も必要になります。