oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

自分で計算する資産運用2 資産の取り崩しの計算

前記事は、資産運用で貯蓄を増やす方向の計算でしたが、今回は、貯蓄した資産を取り崩して利用する方向の計算です。
1.運用しながら毎年、一定の金額を取り崩して使用するために必要な元本はいくらかを求めます。(年金現価係数)
G:必要な元本(万円)
r:利率(年利%/100)
n:取り崩す期間(年)
Q:毎年の取り崩す金額(万円)
  G = Q[ {1-1/(1+r)^n}/r]  ([ {1-1/(1+r)^n}/r] 年金現価係数と言います。)
例えば、老後2,000万円問題(金融庁が令和1年に公表した報告書で、モデルケースとした夫65歳以上、妻60歳以上の高齢無職世帯の毎月の収入は約20.9 万円、支出が約26.4万円で5.5万円不足するので、30年間で5.5 x 12 x 30 = 1,980万円、約2,000万円不足する、というもの)では、年間5.5  x 12 = 66万円資産を取り崩す必要があり、それを30年間(65歳の夫が95歳になるまで)運用しながら可能にするためには、65歳時点でいくらの資産が必要かを計算できます。
Q = 66万円
r = 0.03 (年利3%/100)
n = 30年
とすると、G = 66*[{1-1/(1+0.03)^30}/0.03] = 66*19.6 = 1,294万円
年利3%で運用出来れば、2,000万円ではなくそれよりずっと少ない1,294万円あれば、賄えることになります。2,000万円という金額よりも気が楽になります。前の記事の4項を使って、1,294万円を例えば、25年間で3%の年利で実現しようと考えると、毎年の積立額は、
Q = 1294*[0.03/{(1+0.03)^25-1}] = 1294*0.02743 = 35.5 約36万円(毎月3万円)
毎月3万円を25年間、年利3%で積み立てると、老後2,000万円問題のモデルケースの必要元本は準備できることになります。3%の年利で運用出来れば、40歳から65歳まで、25年間、毎月3万円を積み立てていくと65歳時点で、その後の年金生活で不足する月5.5万円は準備できることが理解できます。このような計算をすると、自分の現在の生活費を把握して、老後の生活費を推定し、年金定期便で自分の年金額がわかれば、どれだけ不足するのか(不足しないことももちろんあります)わかるので、毎月の必要積立額を計算して準備する計画を立てることができます。
2.持っている資産があり、それを今後運用しながら一定額を毎年取り崩す場合に、取り崩せる一定額はいくらになるかを計算します。(資本回収係数)
上とは逆の計算になります。
G:持っている元本(万円)
r:利率(年利%/100)
n:取り崩す期間(年)
Q:毎年取り崩せる金額(万円)
 Q = G[r/{1-1/(1+r)^n}]   ([r/{1-1/(1+r)^n}] 資本回収係数と言います)
例えば、
G=1294万円(現在持っている資金)
r = 0.03 (年利3%/100)(運用利率)
n = 30年間
とすると、
 Q = 1294*[0.03/{1-1/(1+0.03)^30}] = 1294*0.051 =66万円
1項に述べた例と逆になり、1294万円持っていると、今後30年間年利3%で運用しながら年66万円(月5.5万円)取り崩すことができます。
資本回収係数は、年金現価係数と逆数の関係にあります。

このように、前の記事に示した計算式とこの記事に示した計算式を使用すると運用しながら貯蓄する際の計算と、貯蓄で得た資産を取り崩す際の計算ができます。
累乗の計算があるので、関数電卓表計算ソフトのエクセルなどで計算すると簡単にできます。また、インターネットには、年利と期間を記入すると今まで述べた6ケの係数をすべて計算してくれるサイトもありますので、利用すると良いと思います。
(前の記事とこの記事は、自分で納得して計算することに意味があると考えて記載しました。)