人生の3大支出は、「教育費」「住宅費」「老後資金」と言われていますが、全国の平均値を用いて、必要な年収を計算してみました。
子供一人の場合 すべて公立 すべて私立
教育費(万円) 823 2,308
住宅費(万円) 5,000 5,000
老後資金(万円) 2,000 2,000
生活費(万円/月) 32 32
生活費(万円/22-65歳) 16,512 16,512
合計費用(万円/22-65歳)24,335 25,820
必要年収手取り(万円/年) 565.9 600.5
必要年収税込み(万円/年) 707.4 750.6
換算時給(円/h) 3,401 3,609
子供二人の場合
教育費(万円) 1,646 4,616
以降同じ
合計費用(万円/22-65歳)25,158 28,128
必要年収手取り(万円/年) 585.1 654.1
必要年収税込み(万円/年) 731.3 817.7
換算時給(円/h) 3,516 3,931
ここで
1)教育費は文科省の教育費の調査結果で令和3年のもの。幼稚園から大学卒業までの教育費で習い事などは含まず。すべて公立の場合とすべて私立の場合を記載。
2)住宅費は、国交省の「令和2年度住宅市場調査」の注文住宅平均費用4,606万円(土地込み)と賃貸で月10万円で22歳から65歳の43年間の賃貸料の合計5,160万円より、どちらにも近い値として5,000万円とした。
3)老後資金は、2000万円問題の値を使用した。
4)生活費は、令和4年の総務省の家計調査で2人以上の勤労世帯の消費支出の1ヶ月平均の値(32.06万円)を使用
5)合計費用は、教育費、住宅費、老後資金、生活費を大学卒業22歳から年金受給開始前の65歳の43年間とした場合の合計金額である。
6)この合計費用を43年間の給与収入で賄う場合、の必要年収を計算し、これは手取りなので、税込みに換算する場合は、0.8で割って算出。(手取りは税込みの80%程度なので)
7)時給に換算する場合は、週40時間、年間52週働くとして年間2080時間になるので、この数値で必要年収(税込み)を割って算出。
この計算の意味するところは、子供の教育費用、住宅費用、老後資金を生活費とともに22歳から65歳までの43年間の収入で賄った場合(年金受給開始前に教育が終わり、住宅も取得し、老後資金も蓄えているためには)、43年間の平均年収はどのくらいでなければならないかを計算したものです。こども一人の場合、幼稚園から大学まで公立の場合は年収707万円(世帯収入)、こども二人の場合、年収750万円(世帯収入)が必要になります。共働きをすると、これらの年収の約1/2づつを夫婦で分担することになります。時給に換算すると、それぞれ 3,401 円、3,609円になります。共働きなら、これらの1/2の時給となります。子供二人の場合は、すべて公立で必要年収税込み731万円, すべて私立で 818万円、換算時給はそれぞれ3,516 円 、3,931円になります。共働きなら、これらの1/2の時給となります。
この計算結果でわかるのは、時給1,000円では、共働きでも3大費用を43年間で賄うことはできません。時給1000円で共働きをしても、住宅費用と生活費(月18万円に低下)でやっとで、教育費や老後資金をためることは不可能との結果になりました。上記の計算では共働きで子供一人の場合、時給は1,700円(すべて公立)以上必要で、子供二人の時は時給は1,758円以上必要になります。
異次元の少子化対策としては、結局年収(給料)を共働きを前提にして時給ベースで1.7倍以上にしないと、十分な教育資金、住宅資金、老後資金の3大支出と生活費を賄うことは難しいのではないかと思われます。
なお、上記は、住宅費用のローン金利、資産運用の利益などは無視して、概略の単純な計算をしていますので、この点ご了承願います。