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相続の基礎6 相続財産の確定方法(プラス部分)

相続財産の確定については、「相続税の計算」という記事で、概略は述べていますが、もう少し詳しく記載しておきます。
1.普通預金、定期預金、負債
  被相続人の預金通帳や郵便などから、使用している金融機関を確認し、その金融機関に相続開始日(死亡日)現在で、「残高証明書」を発行してもらいます。請求には死亡、相続人の確認等の書類が必要ですが、各金融機関に問い合わせてから準備して請求します。発行される「残高証明書」には、預貯金のみならず、借入金があればその残高も記載されていますので、被相続人に借金があったかどうかも確認できます。
普通預金の評価額=相続開始時の預入残高
・定期預金の評価額=相続開始時の預入残高+(既経過利子ー源泉徴収税額)
2.有価証券(株、債券、投資信託など)
  使用していた証券会社を確認して、照会します。評価額の計算は以下になります。
・上場株式・投資信託の評価額:以下の4つの最も低い価額x所有していた株数・信託数
 ①相続開始日の終値
 ②相続開始日の属する月の毎日の終値の月平均額
 ③相続開始日の属する月の前月の毎日の終値の月平均額
 ④相続開始日の属する月の前々月の毎日の終値の月平均額
・上場株式以外の有価証券の評価額
 ①利付公社債(上場・非上場)、転換社債
  評価額=相続開始日の最終価額+(既経過利息ー源泉徴収税額)
 ②個人向け国債
  評価額=額面金額+(既経過利息相当額ー中途換金調整額)
 ③割引公社債
  評価額=相続開始日の最終価額
3.ゴルフ会員権
  通っていたゴルフ場に問い合わせます。
  評価額=相続開始日の取引価格 x 70%+預託金(あれば)
4.生命保険の権利
  多くの場合、住んでいた家に保険証券があると思いますので、それにて照会します。
  ・保険事故の発生しているもの(被相続人の死亡により受け取れる保険金)
   評価額=支払われる保険金額
  ・保険事故の発生していないもの(被相続人が保険料を支払っていたが、被保険者が被相続人でないものなど、被相続人の死亡で保険金が支払われないもの)
   評価額=解約返戻金相当額
5.定期金(年金受給権など)
  たぶん住んでいた家に年金手帳等があると思います。または社会保険事務所などに問い合わせます。
  ・給付事由が発生していないもの
   評価額=解約返戻金相当額
   ・給付事由が発生しているもの
   評価額は以下の3つに内最も多い額
   ①解約返戻金相当額
   ②一時金相当額(一時金が可能な場合)
   ③予定利率を基に算出した額
6.その他
  ・一般動産(金・プラチナ・自動車など)
   評価額=売買実例価額または、精通者意見価格
   (これらが不可の場合は、調達価額)
  ・書画・骨董
   棚卸し資産(在庫価額)または、売買実例価額または、精通者意見価
7.不動産
  不動産の評価は、地目(宅地、田など)別に、現在の状況(現況)により、筆(1区画)単位で評価します。
1)宅地の評価
  市街地的形態にある宅地(市街地または、その近くにある宅地):路線価方式
  上記以外:倍率方式
  路線価・倍率の数値は、毎年7月に国税庁のHPに「路線価図」として、全国各地の地図の道路部分に記載した形で表示されています。「280D」のように記載されており、その意味は、この道路近傍の宅地の1m2当たりの価格は280千円で、借地権(その土地を貸していている場合の借りている人の権利)割合はD=60%です。すなわち、土地を貸していない場合の評価額は1m2当たりの価格は280千円ですが、その土地を貸している場合の土地の評価は1m2当たり280 x (100-60)/100=112千円ということになります。
さらに、その土地の道路からの奥行きの長さにより、奥行価格調整率が規定されており、路線価が示され、その土地を貸していない場合の評価額は:
  評価額=路線価 x 奥行価格調整率 x 土地の面積
となります。
一方、路線価ではなく倍率が規定されている土地の場合の評価額は:
  評価額=その土地の固定資産評価額 x 倍率
となります。
<小規模宅地等の特例>
一定の要件に当てはまる土地を相続した場合、その一定面積まで、相続税の計算をする際の評価額を50%または、80%減額できるという、相続税法上の特例制度のことです。その減額割合は:
利用状況 適用対象宅地 減額割合(%) 減額対象面積(m2)
居住用  特定居住用宅地  80                   330
事業用  特定事業用宅地        80                   400
事業用 特定同族会社事業用宅地 80                   400
貸付用  貸付事業用宅地         50                   200
①特定居住用宅地の要件(以下のいづれか)
・配偶者が取得する(居住する、しないを問わない)
・同居していた親族が取得する。
・相続開始前3年間マイホームに居住したことのない親族が取得する。
・生計をーにする親族が取得する。
②特定事業用地の要件(以下のいづれか)
・事業を引き継ぐ親族が取得する。
・生計を一にする親族が取得する。
③特定同族会社事業用地の要件
・その会社の役員である親族が取得する。
④貸付事業用宅地の要件(以下のいづれか)
・親族が貸付事業を引き継ぐ。
・生計をーにする親族が取得して、事業を営む。
減額の計算は:
減額される金額=その宅地の評価額(上記参照)x (適用対象となる面積)/(総面積) x (50%または80%)
2)建物の評価額
①自用家屋(自分が住む家屋)
 評価額=固定資産税評価額 x 1.0
②貸家(貸付用建物)
 評価額=自用家屋の評価額 x (1-借家権割合 x 賃貸割合)
 借家権割合は30%, 賃貸割合は、全部かしている場合は100%になります。
③借家権
 評価額=ゼロ
④建築中の建物
 評価額=費用の現価 x 70%

以上が通常被相続人のプラスの相続財産として考えられるものです。