oldmanvitoriablog’s diary

Money and Energy

ガソリン税とトリガー条項

ガソリンの高騰により、ガソリン税に関する議論が盛んになっています。
1.ガソリン税は二重課税?
  (1リットルの)ガソリン価格=本体価格+揮発油税(48.6円)+地方揮発油税(5.2円)+暫定税率(25.1円)
  ガソリン購入者の払う代金=ガソリン価格+消費税(ガソリン価格x消費税率10%)
・ガソリン本体価格:原油の運賃保険料込みの価格に精製費、備蓄費、自家燃費、金利、輸送費、販売管理費などを含めた金額
揮発油税地方揮発油税とともにガソリン税と呼ばれ、主に道路整備の財源に使用される目的で設定されました。揮発油税は国に、地方揮発油税地方公共団体に納付されます。
暫定税率:高度成長期に道路財源の不足を理由に上乗せされた臨時の税金で、道路整備が完了した現在では、その目的が無くなっています。しかし、2009年の民主党政権で公約に「暫定税率廃止」を掲げましたが、財源不足を理由に「暫定税率廃止」を見送ることになり、その代わりに燃料価格高騰対策として、盛り込まれたのが「トリガー条項」です。(トリガー条項とは、ガソリン価格が3ヶ月連続で160円/litterを超えた場合、暫定税率の25.1円の課税を停止し、ガソリン価格が3ヶ月連続で130円/litterを下回ったら解除するというものですが、東日本大震災の復興財源の確保のために発動が凍結されています。)
上記のように、ガソリンには揮発油税2つと暫定税率が課税されて価格になっており、さらに消費税がかかっていますから、二重課税ではないか?との疑問が持たれます。国税庁の見解は「揮発油税2つと暫定税率はメーカーが支払う税金で、販売価格の一部であるから消費税がかかっても二重課税ではない」との見解です。しかし、メーカは揮発油税2つと暫定税はスルーして納税して負担しないし、消費税も実質負担しませんから(収入と支出の消費税の差額を納めるだけ)消費者だけが両方の税金を負担することになり、消費者から見れば、二重課税と言わざるを得ません。国税庁の見解を正しいとするなら、国はメーカの製品に税金を好きなだけ課税して、その製品価格に含めさせれば、いくらでも課税できることになり、最終的に製品を購入する消費者がすべて負担することになり、極めて理不尽なことになります。もっと、二重課税について基本的な考え方を整理し、国民に理解させるようにすべきと思います。
一方、明らかに二重課税と認められたものがあります。それは、被相続人の死亡生命保険金を相続人が年金払いで受け取る場合、相続税所得税が二重に課税されているとして、所得税の課税を取り消す判決が出されたことがあります。また、法人税を支払った後の利益から支払う配当に再び所得税がかかるケースも二重課税ですが、配当控除で幾分緩和されています。(配当全部が還付されるわけではないが、所得税の控除金額に配当がカウントされる)

2.トリガー条項
上記の通り、暫定税率は、当初の目的の道路財源から、燃料価格高騰対策、東日本大震災の時の製油所被災等の場合の燃料高騰対策に変化してきたものですが、実質一般財源に変化したものとなっています。トリガー条項の凍結も解除してガソリン価格に連動して機動的に運用した方が、メーカに補助金を出してガソリン価格を下げる間接対策より国民には分かりやすいのではないかと思います。
一方、税収が増えているというなら、暫定税率そのものを無くした方が、もっと国民の賛同が得られるのではないでしょうか?